「部活動の地域移行」という言葉を最近よく耳にするようになりました。「部活動の地域移行」とは、これまで学校単位で実施されていた運動部活動を、地域のスポーツクラブや指導者へと移管する取り組みを指します。
「いつから始まるの?」「なぜ地域移行が必要なの?」「子どもや保護者にどんな影響があるの?」
こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。今回は、部活動の地域移行の背景や具体的スケジュール、メリット・デメリット、実際の事例、そして今後の展望について解説いたします。
部活動の地域移行とは?進められる理由
部活動の地域移行とは、これまで学校の先生が顧問として指導していた運動部活動を、地域のスポーツクラブや指導者が担う体制へと移行する仕組みです。この背景には、社会環境の変化や学校現場が抱える課題が大きく関係しています。
① 教員の負担
部活動は、先生の自主的な業務とされつつも、実際には多くの時間を必要とします。特に休日の練習や試合の引率が長時間労働の原因となっています。
文部科学省の調査によって、中学校教員の平均勤務時間は1日あたり11時間を超える場合があるという実態が浮き彫りになり、部活動が教員の大きな負担となっている事実が明らかになりました。
②少子化の影響
日本の中学生の数は年々減少しており、1986年の約589万人から2021年には約296万人にまで半減しています。この影響で、学校ごとに部活動を維持することが難しくなり、学校単位でチーム編成ができないケースが増えています。
③専門的な指導を受けることが出来る環境の必要性
多くの先生は特定の競技経験がないまま部活動の指導を任される状況があります。しかし、地域のスポーツクラブや専門コーチの指導により、生徒たちは質の高い練習が可能になります。また、スポーツ科学の発展により、専門的なトレーニングが求められる時代になっており、適切な指導環境の整備が必要です。
これらの理由から、文部科学省は部活動の地域移行を進める方針を固めました。
部活動の地域移行はいつから?
部活動の地域移行は、段階的に進められており、以下のスケジュールで実施されています。
これまでの流れと今後のスケジュール
• 2018年(平成30年):「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を発表
• 2020年(令和2年):「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」を発表
• 2021年(令和3年度):「地域運動部活動推進事業」がスタート(全国でモデル校による実験的な取り組みが開始)
• 2023年(令和5年度)~:休日の部活動を段階的に地域へ移行
• 2025年(令和7年度)末を目指して:休日の部活動の地域移行をほぼ完了
• 2026年(令和8年度)以降:平日の部活動の地域移行も視野に入れて検討
現在、一部の自治体では、休日の部活動を地域のスポーツクラブに移行する取り組みが始まっています。
特に、東京都や大阪府など都市部では民間スポーツクラブとの連携が進んでおり、自治体ごとの取り組みに注目が集まっています。
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地域移行によるメリットと課題
部活動の地域移行は、学校教育のあり方、地域スポーツの振興、そして子どもたちの成長に多岐にわたる影響を与える可能性を秘めています。ここでは地域移行のメリットと課題を詳しく見ていきます。
地域移行によるメリット
教員の負担軽減
・長時間労働が解消され、授業準備や生徒指導に集中できる。
・教員のワークライフバランスが改善され、精神的・肉体的負担が軽減される。
生徒のレベルアップ
・専門的な知識や技術を持つ指導者から指導を受けると、より質の高い練習が可能になる。
・最新のトレーニング方法や戦術を学ぶ機会が増え、競技力向上が期待できる。
・さまざまなスポーツに触れる機会が広がり、技能向上が期待できる。
地域スポーツの活性化
・子どもたちのスポーツ活動が活発になると、地域全体のスポーツへの関心が高まる。
・地域住民が運営や指導に関わることで、地域コミュニティの活性化につながる。
・スポーツを通じた世代間交流や地域交流が促進される。
地域移行の課題
指導者の確保
・特に地方では、専門的な知識や指導力を持つ指導者の確保が難しい場合がある。
・指導者の育成や待遇改善が求められる。
施設の調整
・学校の体育館やグラウンドだけでなく、地域のスポーツ施設との連携や調整が必要。
・施設の利用時間や利用料金などの調整が必要。
費用の負担
・保護者の費用負担が増加する可能性がある。
・経済的な理由でスポーツ活動を諦める子どもが出ないよう、補助制度の整備が必要。
安全面の確保
・学校管理下から地域管理下へ移行すると、安全面に関する責任の所在が変わる。
・安全対策のガイドラインの策定や、緊急時の対応マニュアルの作成が必要。
学校と地域クラブの連携
・学校と地域クラブは、生徒の情報を共有し、連携して指導方針を決定する必要がある。
・生徒の出欠管理や安全管理など、責任分担を明確にする必要がある。
部活動の地域移行は、子どもたちのスポーツ環境を向上させる重要な取り組みですが、課題も多く存在します。子どもたちにとってより良いスポーツ環境を実現するため、自治体、学校、地域は協力しなければなりません。
具体的な移行方法
部活動の地域移行は、以下のような準備を経て進められています。
①受け皿の整備
学校外での活動の場として、地域のスポーツクラブ、総合型スポーツクラブ、NPO法人、民間スポーツ事業者などが必要です。特に中山間地域では合同チームを編成する動きもあります。
②指導者の確保
地域のスポーツ指導者や部活動指導員、社会人アスリート、大学のスポーツ専門家が関わることが期待されています。自治体によっては地元のプロスポーツチームと連携して指導者を派遣する取り組みも進んでいます。
③施設の確保
学校の体育館やグラウンドだけでなく、地域のスポーツセンターや公共施設を活用する必要があります。
さらに、施設管理を専門業者に委託する自治体も増えています。
④費用の負担
地域移行によって月謝や遠征費などの負担が増加する可能性があり、保護者の負担を抑えるために自治体ごとの補助制度の整備が求められています。

まとめ 部活動の地域移行はこれからどうなる?
部活動の地域移行は、2023年度から始まっており、休日の部活動は2025年度末の移行完了を目指しています。この改革によって、先生の負担は軽減され、生徒はより良い環境でスポーツに取り組めると考えられます。
しかし、指導者の確保や施設の利用方法、費用負担などの課題が残っており、自治体ごとの柔軟な対応が求められます。自治体、学校、地域が協力し、子どもたちにとってより良いスポーツ環境を実現することが必要です。
部活動の未来に向けて、どのように地域と学校が協力できるのか、今後の動向に注目しましょう。
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