高齢化やそれに伴う健康志向の高まりからフィットネス施設の需要は年々増加しており、2020年以降一旦大幅に縮小したものの、現在では堅実に復調しております。またニーズの多様化により、総合型フィットネス施設(以下、総合型ジム)より小規模型フィットネス施設(以下、小規模型ジム)が急激に増加しています。
しかしながら、小規模型ジムならではの課題も多く、経営は容易ではありませんし、小規模型ジムといっても数多くの種類があります。今回は小規模型ジムの経営における難しさへの対策として、汎用的な具体的な3つの大きな課題をあげ詳しく解説いたします。
小規模なジム経営のおかれている現状
大手フィットネスクラブ運営会社の同規模施設の展開やオンラインフィットネスの普及により、個人や参入して間もない企業にとって以前と比較して厳しい状況になっており、その厳しい施設同士で顧客獲得競争となっています。
その状況で生き残っていくためには、他社とサービスを差別化し、費用も抑え、品質も維持して、それを継続していかなければなりません。
ジム経営 難しい収益安定化の解決策
小規模型ジムにとって、収益安定化は最も重要な課題の一つです。総合型ジムに比べサービスが限定的であるため、料金を高く設定することが難しいと言えます。
また、会員数を増やすことができたとしても施設の規模により過密になってしまうため、大きな面積の総合型ジムと比較して会員数の上限も低く、総じて利益を確保することが容易ではありません。
さらに、ランニングコストを抑えながら、顧客満足度を高めるサービスを提供していく必要もあります。
1. 顧客単価向上の難しさ
小規模型ジムの場合、総合型ジムと比べて顧客単価を高く設定することが難しく、限られた顧客数で収益を上げていく必要があります。そのため、以下の施策が重要になります。
施策
- 差別化されたサービスの提供
単なる運動器具の利用だけでなく、パーソナルトレーニング、ヨガ、ピラティスなどの専門性の高いサービスや、地域に特化したプログラムなどを提供すれば、顧客単価を向上させることができます。 - 多様な会費の設定
月額料金に加えて、入会金や年会費の設定、短期解約など一定の条件での解約金設定など、月額料金とは別の収入源を確保することができます。 - 顧客ロイヤルティープログラムの導入
継続利用者に特典を提供すれば顧客満足度を高め、リピート率、継続利用率を向上させることができます。
2. 固定費の削減
総合型ジムであっても小規模型ジムであっても、人件費や施設運営費などの固定費が収益を圧迫する大きな要因となります。ただ小規模型ジムでは比較的容易に施策を実行でき、効果も表れやすい利点があります。固定費を削減するためには以下の施策が有効です。
施策
- 業務効率化
会員管理システムや予約システムなどを導入することで、業務効率化を図り、人件費を削減できます。 - アウトソーシング
清掃や受付などの業務を外部に委託すれば、人件費を削減することができます。 - 設備投資の見直し
必要な設備のみを厳選し、中古機器を活用するなど、設備投資を抑えることができます。
3. 収益源の多様化
月会費や利用料金以外にも、収益源を多様化させれば、収益基盤を強化することができます。具体的には、以下の施策が有効です。
施策
- パーソナルトレーニング
個々のニーズに合わせたトレーニングを提供することで、高単価なサービスとして展開ができます。 - グッズ販売
オリジナルウェアやサプリメントなどを販売することで、新たな収益源の創出ができます。また収益とは別の観点にはなりますが、オリジナルの商品は帰属意識を高める効果も見込めます。 - イベント開催
ワークショップやセミナーなどを開催すれば、顧客とのエンゲージメントを高め、新たな顧客を獲得することができます。
顧客獲得と維持が難しい原因と対策
小規模型ジムの場合、知名度や宣伝力に乏しく、顧客を獲得することが難しいという課題があります。また、顧客満足度を高め、継続的に利用してもらうための施策も限られてしまいますが、以下の対応方法が有効です。
1. データ分析の活用
対応方法
- 顧客ニーズの把握
顧客の利用状況や属性データを分析すれば、顧客ニーズを把握し、顧客満足度を高めるサービスを提供することができます。 - ターゲティング広告
顧客属性に基づいてターゲティング広告を配信すれば、広告効果を高めることができます。
2. 地域密着経営
地域住民との密接な関係を築く活動を増やせば、顧客獲得につなげることができます。具体的には、以下の施策が有効です。
対応方法
- 地域イベントへの参加
地域のイベントに参加することで、地域住民に施設の存在を認知してもらえます。 - 地域住民向けの割引制度
地域住民向けの割引制度を設ければ、顧客獲得につなげることができます。 - 地域課題への取り組み
地域の健康課題解決に向けた取り組みを行うことで、地域社会への貢献度を高められます。
3.顧客満足度の維持
続けてご利用いただくためには顧客満足度を維持する・向上させる必要があり、同業他社と差別化して退会率を下げるために、継続して施策を打っていく必要があります。
対応方法
- キャンペーン企画
顧客の利用状況に基づいて、効果的なキャンペーンを企画することが重要です。 - 顧客情報の詳細な分析
顧客の属性、利用履歴、購入履歴などを詳細に分析します。そうすれば、顧客一人ひとりに合わせたきめ細かなサービスを提供することで、満足度向上につなげられます。 - 顧客との密接なコミュニケーション
施設内ではお客様の(前はいつ来られた、毎週何曜日の何時ごろにご利用されることが多い、以前は何を話したなどの)詳細な情報を確認しながらコミュニケーションをとることで、満足度につながります。
またメールマガジンやアプリのプッシュ通知などを活用して施設外でもお客様とのつながりを大切にできます。顧客との密接なコミュニケーションを図ることで、利用率が向上しや継続につながります。
小規模型でスタッフ管理が難しい理由
小規模型ジムの場合、常に少ない人数で運営しているため、離職率が高いと大きな問題となります。その限られたスタッフで質の高いサービスを提供・維持することは難しく、スタッフのモチベーション維持も重要です。
1.シフト管理・勤務状況の把握
スタッフのシフト管理や勤務状況を簡単に把握することで、ワークライフバランスの支援ができます。
2.研修時間の削減
研修用動画を作成する、お客様や機器の対応マニュアルやQAを整備する、問題発生時にすぐに問合せできる窓口を設置するなどで、熟練スタッフが付きっきりで対応すべき研修時間を削減できます。またスタッフ対応の品質についても均一化が図れます。
3.モチベーション管理
まず、定期的なミーティングや不具合が発生している部分を聞き取って対応することが一番重要です。不定期であればスタッフの立場として報告できる機会がわからず不安・不満となります。
また、各種ハラスメントを避ける施策を打ち出すなど、気持ちの良い職場にする努力も重要で、離職率の低下が見込めます。
新しいことにチャレンジしやすい環境にする活動もモチベーションの維持に効果的で、新しいスタッフ確保にも役立ちます。
まとめ
小規模フィットネス施設経営における収益安定化や健全化は、顧客単価向上、固定費削減、収益源多様化、データ分析活用、地域密着経営など、様々な施策を組み合わせることで実現できます。これらの施策を効果的に実行するためには、手作業ではなく会員管理システムを活用し、顧客データを分析することが重要です。
会員管理システムを活用することで、単に業務効率化だけでなく、顧客属性や利用履歴を詳細に分析し、顧客一人ひとりに最適なサービスの提供ができます。また、顧客とのコミュニケーションを強化し、顧客満足度を高めることもできます。
小規模フィットネス施設経営にお悩みの方は、ぜひ会員管理システムの導入を検討し、収益化に向けた取り組みを積極的に進めてみてはいかがでしょうか。
すでに導入されている施設でも、新たな機能やサービスを導入することで、収益を底上げ・下支えが可能です。 システム会社はいろいろなお客様へサービスを提供しているため、システム外でのノウハウも豊富で、トータルで問題解決や効率化の一助となるでしょう。
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