今から開業を控え会員データの管理(以下、会員管理)をお考えの方、すでに管理をしているが不便を感じている方、もっと有意義にデータを活用したい方など、さまざまいらっしゃると思います。ここでは初めて会員管理システムを導入する方や、引き継がれて初めてご担当される方など、初心者の方向けに施設に合った会員管理システムの重要性(意味・意義)とシステムごとの特徴、運用方法について解説いたします。
会員管理の重要性(意味・意義)とは?
そもそも、何故わざわざ会員管理システムを導入し、会員管理を行う必要があるのでしょうか?
会員管理システムの使命は、入会時や利用時にお預かりするお客様の情報を、情報漏えいなどのリスクを減らし、退会防止や入会促進に活用することでメリットを増やすことです。
実際にシステムを利用するシーンで考えると、ただ単に会費の納入や利用状況の確認のためだけや、利用データを基に施設の混雑予想や利用頻度で退会しそうな方を抽出したり、お客様の目標や要望といった情報をほかのスタッフにも連携することでよりきめ細やかなサービスに役立てたりと、施設によって使用目的が多岐にわたります。
特にフィットネス業界に特化して開発されたシステムは、フィットネスクラブ向けの様々な機能が標準で用意されていることも多く、新たな魅力や意義を感じることもあるかと思いますが、システム導入する前に具体的にシステムで何を実現したいのか「意義」を明確にしておくと、迷わず決定できると共に、不要な機能を減らすことで費用も抑えられることがあります。この後、簡単ではありますが、システムの種類とその運用方法をご紹介いたします。
会員管理システムの種類とその運用方法
①Excelなどの汎用的なアプリケーションでの管理
Excelなどの表計算ソフトや、データベースソフト(ACCESSなど)など汎用的なソフトウェアを使用する場合です。
kintone(キントーン)やファイルメーカーなどクラウドのサービスもここに含めます。
すでにパソコンにインストールされていたり、無料のソフトウェアやクラウドのサービスもあるので、パソコンさえあれば、比較的お金はかかりませんし、すぐに開始できます。汎用的なソフトウェアであるため、こういったデータを残したいといった要件の追加・変更も容易です。
ただ、すぐに開始できるものの、どういった表やデータベースにするか事前に考えて、作表なり、データベースの作成なりをしておかなければいけないため、事前準備が必要です。
会員様が実際に利用されるシーンで考えると、管理できない内容が出てくる可能性があり、別途管理になる場合があります。例えば、時間の制限や曜日の制限がある会員種別がある場合、システムで管理できないことが考えられ、そうなると利用可否の確認に時間を要します。その結果、会員カードの色を変えるなど別の方法での管理が必要になります。
また、口座請求用のデータ作成や、統計を取って分析に使用するためには、入力したデータを加工する必要があるため、その点でも時間がかかり煩雑になりがちで、ある程度パソコンやシステムに精通する必要があります。
システムの運用を考えると、施設だけで運用するため、データがなくなったり、壊れたりしても基本的には自己責任となります。毎日バックアップを取るなど工夫が必要です。ただクラウドサービスであれば自動バックアップ機能があり不要な場合もあります。
また、パソコンの知識に加え、使用するソフトウェアやサービスの知識が必要となります。基本的に独学になるでしょう。
セキュリティ面に関しても自己責任が基本です。パスワードを設定したり、データを待ち出さない、持ち出させない工夫が必要です。また、特にインターネットにつながっているパソコンなどであれば、ウイルス感染により情報漏えいの危険もあるため、セキュリティソフトなどでの防衛は不可欠です。
②汎用的な会員管理システムでの管理
会員管理専用のソフトウェアやクラウドサービスです。会員管理システムと一言で言っても、汎用的なものと業種専用や特化型など様々な種類がありますが、ここではどの業界でも使用できるような汎用的なシステムについて記載します。
専用ソフトやサービスとなるため、マニュアルがあり使用方法のレクチャーも受けることができると思います。そのため、パソコンの知識があればそのほかの知識は不要です。
パッケージ製品のためデータの集計も容易にでき、個別にカスタマイズなどがなければ導入も比較的スムーズで、サポート体制もあると思いますので安心です。
ただ汎用的に開発されているため、フィットネスクラブとして利用できる機能も限定され、使用しない無駄な機能も一緒に料金に含まれる可能性があります。口座請求のみ、レジ精算のみなどスタッフの負荷軽減も限定的になることが多いです。
セキュリティ面ではシステム会社が考慮して開発しているため①と比較してかなり高いと考えられます。内部の方の悪意で抽出して持ち出すことも考えられますが、特定のユーザーしかデータを抽出できないように考慮されている場合が多いです。ただインターネットセキュリティに関しては①と同様です。
クラウドサービスで必要な機能のみ使用するのであれば効果的ではないでしょうか。
③フィットネスクラブ・スポーツジム専用システムでの管理
フィットネスクラブ・スポーツジムの運営に特化しているソフトウェアやクラウドサービスが該当します。
前述の汎用的なシステムの利点に加え、業界に特化しているため、スイミングスクールの管理や短期教室なども含めて汎用的な処理がカバーでき、スタッフの業務の負担を軽減できます。また、システム開発会社も業界に精通しているため、問い合わせ時に齟齬が発生しにくく意思の疎通はスムーズです。「こういったことをやりたい」などの相談もしやすいのではないでしょうか。
ただ、前述した2つと比較し費用が多く掛かる傾向があります。クラウドサービスであれば導入費用は抑えられますが、その代わり月々のランニングコストが高くなります。
また、ある程度システムに沿って運用することが必要となる場合があり、その場合は運用の変更が必要となります。施設独自の運用には合わせられないことも出てきますので、別途Excelなどで管理する必要が出てくる可能性もあります。
セキュリティ面では前述の②と同様です。
④施設専用システムを開発
システム会社に開発を依頼する、または自社でシステムを構築する場合です。新しくシステムを構築するため、施設の運用に沿った(ぴったりフィットした)システムとなり、施設スタッフの負担を最大限に軽減できます。また、運用に合わせているため、操作ミスも少なくなります。自社開発であれば運用変更も比較的容易で融通も効きます。
ただ、システムの規模に比例して開発と保守を行う人件費など、費用が莫大にかかります。また、設計からの開発となるため、運用開始までに多大な時間と労力が必要です。自社開発であれば相応の技術力が必要ですし、開発会社に依頼する場合もそれ相応の知識があったほうがスムーズに進めることができます。
店舗数が多い場合には大きな効果を発揮しますが、たいていはパッケージ製品の利用で足りることがほとんどで、施設専用システムを開発する事は、最終手段となる場合が多いです。
一覧表
記載した内容を一覧に纏めました。
※オンプレミスとは自社にサーバや専用パソコンなどを導入する方法です。
※一般的な内容のため個々のシステムによっては相違する場合があります。
まとめ
簡単に会員管理システムの重要性と運用方法についてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
システム導入はランニングコストが増えるため、できるだけ費用を抑えてより多くの効果を発揮させたいところだと思います。
パソコンに詳しい方は①の汎用アプリでもある程度の管理ができ、また自由に作成できるため費用面以外にもメリットがありますが、そうではないスタッフも使用することを考えると、煩わしいと感じられる方が多いのではないでしょうか。
その点、業界特化型の会員管理システムであれば、スタッフが使用することを前提に、できるだけわかりやすく操作できるように開発されており、そういった点を含め全体で考えると、費用対効果が高いのかもしれません。
また、フィットネス業界でもどんどん新しい営業形態や取り組みが出てきており、それに応じて業界特化型の会員管理システムもどんどん進化しています。そういった新しい機能を追加して利用できるのも魅力です。 細かい機能や費用の違いも様々あるため、いろいろな会社の資料を請求して検討してみてはいかがでしょうか。
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